外壁・屋根の最適な塗り替え時期と劣化サイン

外壁や屋根を長持ちさせるためには、定期的なメンテナンスを行うことが大切です。
とはいえ、いったいどのタイミングで塗り替えをすればよいか、自分ではなかなか判断できないという方も多いのではないでしょうか。

今回は、塗り替えタイミングの目安や劣化のサインの見分け方、塗装に適したシーズンなどについてご紹介します。

1. 外壁・屋根塗装を行うタイミングは10年が目安

外壁や屋根の塗装を考えるタイミングの目安は、気候や立地条件、素材にもよりますがおおよそ10年です。
また、1回目か2回目かでも塗り替え時期が異なります。

(1)はじめての塗り替え時期

新築やリフォーム後などの新しい外壁・屋根を塗り替える場合、塗り替え時期の目安は10~15年です。
外壁が新しいうちは塗膜でコーティングされているため、劣化の進みも遅くなりがちです。

(2)2回目以降の塗り替え時期

2回目以降の塗り替えは1回目の塗料の耐久性にもよりますが、おおよそ10年が目安です。
2回目以降の塗り替え時期は、1回目に施工した塗料の種類や施工技術に左右されやすくなるため、
場合によっては8年と短いこともあれば、10年以上長持ちする場合もあります。

2. 放っておくと危ない外壁劣化のサイン

外壁が塗り替え時期にきているかどうか判断するには、次のような劣化のサインを見極めることが大切です。

(1)色あせ・チョーキング

「外壁の色が以前より薄くなってきた気がする」と感じたことはありませんか。劣化が進行すると色あせが出てきます。
色あせは全体的に出ることもあれば、部分的に出ることもあります。いずれにせよ劣化のサインの一つです。

外壁を触るとチョークのような白い粉が付くときは、「チョーキング」といってこちらも劣化のサインです。
紫外線などで外壁の塗料が傷んでくることで出てくる現象であり、チョーキングが色あせの要因の一つでもあります。

(2)コケや藻、カビ

外壁をよく見ると、コケや藻が生えているのを見つけることがあります。
日当たりの悪い場所や湿度が高くなりやすい場所など、普段はあまり目にすることがない建物後ろ側などに発生しやすいです。

湿気が多い場所ではカビも付きやすく、外壁が黒く汚れた状態になっている原因が、カビであることも少なくありません。
コケや藻、カビが発生するのは、外壁の塗膜がなくなりつつあるサインですから、塗り替え時期といえます。

(3)ヘアークラック・構造クラック

劣化が進行すると、外壁にひび割れが発生します。「クラック」と呼ばれるもので、地震などで建物が揺れることによって発生することもあります。
「ひび」といっても、髪の毛ほどの細いひび割れのことは「ヘアークラック」と呼びます。

どちらも、ひび割れをそのままにしていると割れ目から水が壁内部に入り込む恐れがあるため、適切な補修が必要です。
ひび割れの深さ、長さなどを診断してどの深度まで影響しているか判断します。

(4)シーリング材の割れ・剥がれ

外壁材と外壁材のあいだの目地として使われているのが「シーリング」です。
シーリングは紫外線や風雨にさらされることなどにより劣化し、割れたり剥がれたりします。
外壁材は劣化していなくとも、シーリング材が先に劣化することがあります。

外壁材同士が地震の揺れなどで直接ぶつかると割れの原因になってしまうため、シーリングは緩衝材としての役割も果たしています。
また、外壁材の継ぎ目から雨水などが侵入するのを防いでくれます。
特にサイディング材の外壁では、シーリングが建物の耐久性を保つための要ともいえます。

ハウスメーカーの特殊な外壁材は長持ちする傾向にありますが、外壁材を張り合わせているシーリング材の耐用年数は一般的に7年~15年ほどなので、
地震のあとやメンテナンス時に見落としのないよう注意が必要です。

(5)塗膜の膨れ、剥離

外壁の塗膜が劣化すると、ところどころで外壁の表面が膨れたり、塗膜がペリペリと剥がれてきたりします。
塗膜の剥がれは外壁を守る膜を失っている状態ですから、ここからさらに劣化が加速してしまいます。
塗り替えを判断するサインの一つといえるでしょう。

3. 気づきにくい屋根の劣化サインはどうする?

屋根の劣化のサインは、外壁と違って目線上にないため自分たちが確認することは困難です。
屋根に上がらずに屋根の状況が確認できるドローン診断を行ってくれる業者もあるので、見積もり依頼の際に確認してみましょう。

屋根の劣化を判断するポイントをご紹介します。

(1)屋根塗装のタイミングも10年?

屋根の塗装タイミングは屋根の素材によっても異なりますが、おおよそ10年が目安です。
屋根の塗り替えも足場が必要になるため、外壁と同じタイミングで行う方も少なくありません。
しかし、屋根と外壁を同時に施工すると一度の費用負担も大きくなりがちなため、別々に行いたいと考えている方もいます。

屋根材の種類や前回の塗装のグレードによっては、耐久性が長く保たれることもありますので、
素材ごとの劣化のサイン、注意点などは下記で詳しくご紹介します。

(2)屋根材ごとの劣化ポイント

屋根材の主な種類は「日本瓦」「セメント瓦」「スレート屋根」「金属屋根」などです。

屋根の素材劣化ポイント塗り替え目安
日本瓦・耐久性に優れていて50年以上長持ち
・強風や飛散物でのひび割れ
必要なし
セメント瓦・色あせ
・ひび割れ
・コケや藻の発生
5~10年
スレート瓦・色あせ
・ひび割れ
・コケや藻の発生
5~10年
金属屋根・サビの発生
・腐食の発生
・色あせ
5~10年

昔ながらの日本瓦は、耐久性に優れた素材であるため長持ちします。
基本的には塗り替えは必要なく、割れやひび割れなどが発生したときに交換するという補修です。

セメントやスレート瓦は、劣化すると色あせが目立ってきたり、藻やコケが発生したりします。

金属屋根は、塗膜が劣化すると本来の金属素材が剥き出しになるためサビが目立ち始めます。
劣化が進むと腐食して穴が開き、屋根の葺き替えに繋がってしまうため、早めの対処が必要です。

2回目以降の塗装は、塗料の種類により耐久性が異なるため、塗り替えのタイミングも変わります。
耐久性のある塗料で施工することでメンテナンスの回数を減らすことができます。

(3)塗装ができない屋根には?

上記で上げた屋根材は、住宅では一般的に使われているもので瓦以外は塗装ができるものです。
一方、塗装ができない屋根も存在します。一つはアスベスト屋根です。

アスベスト、いわゆる石綿屋根は規制されえる前は住宅によく使われていました。
本来、屋根の塗装は耐久性を維持する目的のために行いますが、
アスベスト屋根は一度劣化すると塗装しても劣化の進行を止めることができない素材であるため、塗装できません。
また、アスベストの飛散を防ぐための作業が必要になることがあります。

アスベスト屋根のように、塗装しても耐久性を維持できない場合は、塗装ではなく屋根の葺き替えやカバー工法による重ね葺きが必要です。

また、ひび割れや欠損などの補修は塗装では対応できませんので、劣化の程度により部分的に交換する、
または屋根全体の葺き替えやカバー工法などの対処になります。

(4)見えない部分だからこそ! 最もクレームの多い屋根塗装

屋根の劣化具合は、高い位置にあることから自分では間近で確認することが困難です。
そのため屋根を確認してもらうには、プロの業者に依頼することになるでしょう。

しかし、残念ながら悪質な業者は、屋根に上がって屋根の部材を破損したり、むやみに不安をあおるようなことを発言したりすることがあります。
屋根の劣化は素材や環境によっても異なります。屋根の最適な塗り替え時期を見極めるには、
外壁の状況や、2階から見える部分などをもとに、屋根の状況をある程度把握しておくことも大切です。

長持ちする塗り替え工事をするには、悪徳業者を避け、信頼できる業者に依頼することが大切です。
すべてではありませんが、訪問業者は悪質業者の可能性があるので、その場で屋根に上がらせたりせず、契約前にホームページを確認するようにしましょう。
「今日だけ」「今だけ」などとその場で契約を急がせる業者には要注意です。

4. 信頼できる業者選びのポイント

地元で長く続けている実績のある業者や、ホームページにお客さんとの写真入りの施工事例を載せている業者は信頼できる業者の可能性が高いでしょう。
悪徳業者に依頼しないためには、次のようなポイントに気を付けて選びましょう。

(1)住宅リフォーム事業者団体に登録されている

まず、「住宅リフォーム事業者団体」に登録されているか確認します。
住宅リフォーム事業者団体とは、国が定めた一定基準をクリアしている事業者団体が登録されている組織であり、
消費者のための相談窓口を設けているなど利用者側が安心してリフォームを行うことができる仕組みになっています。

(2)建設業の許可を持っている

屋根・外壁の塗装を行うような建設業は、「建設業許可」を持っているのが一般的です。
建設業において、無許可で営業しているような会社は、それだけをとっても信用できません。

(3)リフォーム瑕疵保険へ加入

リフォーム瑕疵保険の加入もできる窓口を設けていることは、大切なポイントです。
金額が大きなリフォーム工事は、施工後に万が一不具合があった場合に、補修費用の負担も大きくなりがちです。
補修しなければならない事象がないことが理想的なことですが、万が一のときの保険が活用できることは安心感に繋がります。

(4)社歴

営業してどのくらい経過しているか、代表者を含めてどのような経験を持つスタッフが揃っているか、経験や実績を知るうえで大切な情報です。

(5)施工保証

きちんとした業者は、「独自の工事保障」「メーカー保証」「第三者機関の保証」などさまざまな保障を用意しています。

工事保障は、施工不良による不具合を業者が保証するもので業者独自の保証です。
技術に自信を持っている裏付けともいえるでしょう。
メーカー保証は、主に塗料メーカーが製品の耐久性に対して品質を保証するものです。

第三者機関の保証は、瑕疵保険など万が一施工の不具合がある場合でも、公的機関などから保証を受けられるものです。
たとえ業者が倒産した場合でも、施工店にかわり保証できるものもありますので、施工後も安心感があります。

(6)施工実績&クチコミ

実際の施工実績の写真付き掲載や、ユーザーからのクチコミ掲載は、業者について詳しい情報を得られるものです。
どんな部分に力を入れて対応しているかわかりやすく、参考になります。
とはいえ、自社で掲載する情報は偏りがある場合もありますので、あくまで一つの判断材料としてとらえましょう。

5. 塗装に最適なシーズンとは?

塗り替えは外部での作業になるため、天候や気温などに左右されます。
ここでは塗装に最適なシーズンについてご紹介します。

(1)春夏秋冬で比べた場合

基本的には、年間を通して塗装工事は可能です。
ただし、気温が氷点下になる地域や積雪が多い地域では、冬場の施工は避けたほうが無難です。
実際には、次のような条件下での施工はおすすめできません。

  • 気温5℃以下
  • 湿度85%以上(雨の日)

5℃以下のような寒さが厳しい気温だと塗装の乾きも遅く、仕上がりにも影響します。
また、湿度が高すぎても乾きません。屋外での作業ですので雨の日の施工も向いていないため、梅雨時期は施工できない日が多いでしょう。

(2)それぞれのシーズンのメリット・デメリット

外壁塗装のベストシーズンは、春(4~5月)か秋(9~10月)です。
塗料は、しっかりと乾燥させておかなければ機能が低下してしまうので、空気が乾燥していて天気が安定している季節が最適です。

梅雨時期は最も塗装に向きません。雨で予定していた工事が行えず、工期が延びることもあります。
真夏は気温が高いのですが、湿度も高いため意外と不向きです。
また、真冬は空気が乾燥していますが、気温が低すぎて乾きに影響するためやはり不向きといえます。

塗装に向くシーズンは依頼が多く、希望していた期間に予約が取れないデメリットがあります。
また、逆に塗装に不向きなシーズンは予約が取りやすく、職人がじっくり腰をすえて施工できるメリットがあります。

オフシーズンの塗装では、雨や湿気、温度による乾きの対策など、不利な条件をきちんとクリアできているかどうかの確認をしておくと安心です。
業者によっては工事の少ないオフシーズンに割引や特典がある場合もあります。

(3)地震や台風のあとは要注意!

地震や台風のあとは、外壁にダメージを受けている可能性があります。
当初よりも劣化が進むなど何らかの影響が出ていることもありますので、少しでも気になることがあれば業者に相談しましょう。

(4)家族のライフイベントも考慮しましょう

塗り替え期間は、窓を開けられなかったり、ニオイが気になったり、家族の暮らしにも影響します。
そのため、受験生や出産、進学などライフイベントがあるような時期は、影響を考えて控えることも検討しましょう。

まとめ

今回は、屋根・外壁の塗り替えタイミングについての目安や、劣化を判断するポイント、塗り替えに適したシーズンと、
信頼できる業者の選び方などについてご紹介しました。

外壁も屋根も、おおよその目安があるものの、最終的な判断は業者に見てもらうことが必要です。
ただし、屋根は高い位置にあることで、悪徳業者の場合、故意に屋根を壊して補修を進めることもあるため、
普段から自分の目で現況を把握しておくことも大切です。

塗り替え工事は1年を通してできますが、それぞれの季節に特徴がありますので、自分が住む地域に合う適切な時期を見極めることが大切です。
安心で美しい屋根・外壁塗装ができるように、事前にしっかりと理解しておきましょう。