外壁・屋根の塗り替えはいくら? 価格相場と業者選びのポイント
外壁や屋根の塗り替えをしたいけれど、どれくらい費用がかかるか検討がつかず、なかなか話が進まないという方もいるのではないでしょうか。
費用の内訳を知りたくても見積もりをどこに依頼すればよいか迷っている方もいるでしょう。
そこで、今回は、塗り替え費用の内訳や工事の流れ、塗料の種類やよい業者の見分け方などについてご紹介します。
1. 外壁・屋根塗り替えの費用と内訳
外壁と屋根の塗り替えの流れや、費用と内訳を解説します。
足場代などの費用も必要ですから、全体の費用感をしっかりとおさえておきましょう。
(1)一般的な塗装工事の内容と流れ
一般的な塗装工事の流れは次の通りです。
- 近隣へのあいさつ
- 足場設置
- 施工エリアの高圧洗浄
- 塗装エリアの下地処理
- 養生
- 塗装工事の下塗り
- 中塗り
- 上塗り
- 検査後に足場解体
- 完成引き渡し
まずは、近隣あいさつから始めます。
足場を組み始めると工事の音が響きますし、ゴミやチリ、ニオイなどが飛ぶ恐れもありますので、トラブル防止のためにも事前に近隣の方へ連絡をしておきます。
本格的な施工は高圧洗浄からはじまり、数回に分けて丁寧に塗装をします。
「塗り替え」と一口にいっても、しっかりと耐久性を保ち美しく仕上げるためには、ひと手間かけた重ね塗りが効果を発揮します。
塗装が完了したら、足場を撤去する前に施工箇所をくまなく検査します。
高い位置の不具合は足場に上って対処する必要があるため、検査は重要な工程の一つです。
検査後、問題がなければ足場解体、完成引き渡しとなります。
(2)足場代など各項目の価格相場と内訳
塗装工事の内訳は、主に次の4つに分けられます。それぞれの価格相場もあわせて確認しましょう。
内訳 | 価格相場 |
---|---|
塗料などの材料費(1平米あたり) | 1,200~5,500円 |
足場代(1平米あたり) | 700~1,000円 |
職人の人件費(1人工あたり) | 20,000円~ |
その他経費 | 適宜 |
(3)人件費と適正価格
塗装工事の場合、現場施工を行う人件費のボリュームも大きくなります。
一人当たりの人件費としてどの程度が適正となるのか、労務単価の目安は次の通りです。
・千葉県の塗装工:28,900円
上記の労務単価は、国土交通省が発表している令和4年度「公共工事設計労務単価表」をもとにしています。
公共工事を行う際の見積もり作成で取り扱われる基準となるものですから参考にしてください。
(4)坪数・延べ床面積による屋根・外壁の面積の割り出し方
正確な図面がなくても坪数や延床面積から屋根・外壁の面積を割り出す方法があります。
延べ床面積とは、各階の床面積の合計を指します。それぞれの計算方法をご紹介します。
・屋根面積の割り出し方
床面積から割り出すときは、緩勾配なら「床面積×1.1」、急勾配なら「床面積×1.2」の計算方法を活用することでおおよその屋根面積を求められます。
・外壁面積の割り出し方
延べ床面積から割り出すときは、「延べ床面積×1.1~1.4(係数)」の計算方法を活用することでおおよその外壁面積を求められます。
坪数から割り出すときは、1坪(3.31平米)として面積に換算し、上記の計算方法を活用します。
「係数」とは、窓など開口部のように塗装しない面積のボリューム調整です。
塗装しなくてもよい部分が多い場合は、係数を大きくし、外壁のほとんどを塗装しなければならない場合は、係数は小さく計算するのがおすすめです。
2. 塗料のグレードによる違い
塗装工事の費用は、塗料の種類によって異なります。耐久性の高い塗料はコストが高くなる傾向があります。
(1)塗料ごとの特徴と価格相場
塗料の種類と価格相場は次の通りです。
塗料の種類 | 耐久年数 | 特徴 | 価格相場(平米単価) |
---|---|---|---|
アクリル塗料 | 3~8年 | ・コストパフォーマンスに優れる ・メンテンナンス回数が多くなる | 1,000~1,800円 |
ウレタン塗料 | 5~10年 | ・耐久性がある ・種類が豊富 | 1,500~2,500円 |
シリコン塗料 | 7~13年 | ・耐久性がある ・採用率が高い | 1,800~3,500円 |
フッ素塗料 | 12~15年 | ・耐久性に優れる ・メンテナンス回数が減る | 3,000~5,000円 |
無機塗料 | 15~25年 | ・耐久性にとても優れる ・20年以上長持ち ・自動洗浄機能 | 5,000~6,000円 |
塗料としてのコストが安い場合は、劣化のサイクルが早くなるため、塗り替え費用がその都度かかります。
一方、耐久性が優れた塗料は長持ちするため塗り替えサイクルも短くなりますので、
最終的にどれくらいのメンテナンス回数が必要になるか、個々のケースでシミュレーションしてみるとよいでしょう。
(2)耐用年数による塗り替え回数の違いとコストパフォーマンス比較
耐久性が高く耐用年数が長いと、塗り替え回数は少なく済みます。
塗料による耐用年数の違いは、長い目で比較したときにどれくらいコストパフォーマンスに影響するのか、確認しておきましょう。
<新築から40年間でシミュレーション>
塗料の種類 | 耐久年数 | 塗り替え回数 |
---|---|---|
アクリル塗料 | 3~8年 | 13~5回 |
ウレタン塗料 | 5~10年 | 8~4回 |
シリコン塗料 | 7~13年 | 5~3回 |
フッ素塗料 | 12~15年 | 4~2回 |
無機塗料 | 15~25年 | 3~2回 |
塗料の耐用年数を想定したとき、上記のような塗り替え回数のシミュレーションになります。
コストを比較した場合は次の通りです。
<300平米の外壁面積で40年の回数を想定>
- アクリル塗料:30万円×13回=390万円~
- ウレタン塗料:45万円×8回=360万円~
- シリコン塗料:54万円×5回=270万円~
- フッ素塗料:90万円×4回=360万円~
- 無機塗料:150万円×3回=450万円~
耐用年数が少ない塗料を使うことで、塗り替えの回数が増え、40年間で試算するとグレードの高い塗料よりもコストがかかる可能性が高いことがわかります。
(3)ハウスメーカー専用の塗料は?
ハウスメーカーで建てた家だからといって、一般的な外装用の塗料が使えないということはありません。
むしろ、ハウスメーカーで建てた方の多くは、塗装専門業者に依頼しています。
ハウスメーカーの外装を塗装する注意点としては、メーカーによって外壁の素材が異なるため、特徴に合わせて長持ちする塗料を選択することが大切です。
3. 見積書を見るポイントと優良業者の見分け方
本格的に外装塗装を検討しはじめたら、いったいいくらの費用がかかるのか見積書を作成してもらいます。
見積書は専門用語もなどが使われていることもあり、なじみのない用語で戸惑うかもしれませんが、
自分たちでもチェックできる見積もりのポイントや優良業者の見分け方をご紹介します。
(1)見積書に面積の記載があるか
見積書にきちんとした面が記載されているか確認します。
建設業界はどんぶり勘定ともいわれており、中にはきちんと計測せずに経験値のみでざっくりとした見積書を提示してくる業者がいます。
正確ではなくても、利益だけはきちんと確保するように必要以上に高い見積書が作られる場合もありますので、必ずチェックしましょう。
また、坪数表示で面積が記載されている場合は、外壁面積ではなく床面積を表していることになり、正確な面積とはいえません。
最初に少ない見積書で話をすすめ、後から金額を上げるということも考えられますので、坪数表示にも気を付けましょう。
(2)塗料のメーカー基準塗布量を守っているか
塗料の数量を確認することで、どのような施工をする予定なのか判断できます。
塗料メーカーはそれぞれ基準塗布量を指定しています。基準塗布量を守ることで、きちんとした耐久性が発揮できるのです。
塗料の数量が少なすぎる場合は、基準塗布量を守っていない可能性があります。施工品質にかかわる部分ですので注意が必要です。
(3)施工技術の判断の目安は?
塗装工事の技術は、あまり意識されることがないため、高度な技能を習得した技術者が施工しているかどうか、わからないことが多いでしょう。
しかし実際には、耐久性を保ち、かつ美しく仕上げるには経験と実績が必要です。
塗装工事は、意外と費用がかかります。安かろう悪かろうでは意味がありません。
一級塗装技能士などの国家資格を所有したプロの職人がいるかどうか、業者のホームページなどで実績やスタッフなどを確認し判断しましょう。
(4)保証内容とアフターフォローは明確か
施工業者を見極めるポイントの一つは、保障内容とアフターフォローの充実度です。
保障内容では、施工後の不具合を会社が独自で保証する工事保障のほか、塗料メーカーの保証を明確にすること、
第三者機関の保証としてリフォーム瑕疵保険が利用できるかなど、どんな保証を取り扱っているか確認します。
アフターフォローの対応も気になるポイントです。万が一の施工後の不具合があるとき、すぐに対応してくれる地元業者が安心です。
全国展開のチェーン店の場合、施工後はなかなかアフター対応をしてくれないケースも少なくありません。
クチコミなども参考しながら、アフターフォローがきちんと行われている業者を選びましょう。
(5)もし見積書に不安を感じたら
見積書をチェックして、面積表記がなかったり塗料が少なかったりなど、内容に不安を感じた場合は、公的な機関に相談することも可能です。
また、自分でも比較しやすいように複数の業者に見積もりを作成してもらうことも方法の一つです。
個人が相談できる公的機関は下記の通りです。外壁の見積書の事例も見ることができますので、受け取った見積書の内容と比較してみましょう。
- 住まいるダイヤル https://www.chord.or.jp/
- 外壁塗装見積書例 https://www.chord.or.jp/reform/house09_02.html
まとめ
外壁や屋根塗装の費用相場や内訳の内容、塗料のグレードによる塗り替えサイクルの比較から
見積書の見極め方や優良業者を選ぶポイントなどについてご紹介しました。
塗装工事は、実際に施工する人件費も大きな割合を占めていますので、適正な価格で見積もりされているかチェックポイントの一つです。
また、適格な面積を把握した妥当性のある見積書が作成されているか、判断することに不安な場合は、
個人でも相談できる公的機関も積極的に活用することをおすすめします。
安心できる塗装工事が進められるように、業者選びも慎重に行いスムーズな工事進行に繋げてください。